なぜ読もうと思ったのか
「How Google Works」という別の本の中での紹介されていて気になった。
「あなたの親は間違っていた - 散らかっているのはいいことだ!」という節で以下のように紹介されている
カーネギー・メロン大学教授だった故ランディ・パウシュは名著『最後の授業』のなかで、子供時代の自室の写真を公開している。壁いっぱいに、つたない手書きの公式が描かれている。そして世界中の親にこう訴えている。「みなさんの子供が自室の壁に何か描きたいと言ったら、僕に免じて、やらせてやってください」
ランディ氏のことはそれまで知らなかったがとても気になった。
自分の妄想のなかでは、数学への興味を抑えられない5,6歳くらいの幼い子供が分別がつかずノート替わりに壁に公式を書きまくってしまった。というところだったのだが、実際には
高校生のなかごろ、自分の頭のなかに渦巻く考えを部屋の壁にぶちまけたい衝動に駆られた。「部屋の壁に絵を描きたい」と、僕は両親に頼んだ。
とあり、子供というよりはティーン英ジャーで、衝動に駆られたとは言いつつも、自分の妄想していたシチュエーションとは少し違った。
だが、自分が一番見たかったのはあくまでも「壁いっぱいのつたない手書きの公式」だ。
これがそうらしい。
なるほど。
内容について
「夢を叶える方法」といった読者へのメッセージも含まれているものの、基本的にランディ氏の自伝と思って差し支えないだろう。
面白かったのは、彼がコンバーチブルのフォルクスワーゲン・カブリオレに甥っ子と姪っ子を乗せたときの話で、
彼の姉は二人に
「ランディおじさんの新しい車なんだから気をつけなさい」
「乗る前に足を吹くのよ。ちらかさないで。汚しちゃだめよ」
と気をつかう一方、そんな風に子供を注意するのはよくないと考えていたランディ氏は、姉が注意書きを並べている間に、車の後部座席にコーラをわざとこぼした。 その週末、風邪を引いた甥っ子がバックシートに吐いてしまったらしく、コーラをこぼしたことは大正解だった、と言っている。
似たような話を確かカーネギーの本で読んだことがあった。
自宅のパーティに招いた客人が高そうなグラスをうっかり割ってしまったあと、気まずい静寂のなか、自ら「気にしないで」とグラスを一つ割って見せるミュージシャンの話だったか。
さらにランディ氏は、この本のなかでこの二人に対して、もし将来ちいさい子供が彼らの車を汚してしまったら笑ってやってほしい、と言っている。
これも似た話を確かカーネギーの本で読んだことがあった。
他にも「これは聞いたことある話だな」というものがいくつかあったので、おそらくランディ氏はカーネギーの影響を受けていたのではないかと予想する。
カーネギーを何冊か読んだことがあるなら、読むとピンとくる箇所がいくつかあると思う。
表紙に「世界中が涙した感動のベストセラー」とあるが、さほど感動的ではないと思うので、感動目的ならおすすめできない。